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社会福祉法人 鉄道身障者福祉協会
第55回リハビリテーション懸賞作品

懸賞作品入選者発表

課題【みんなで支えあう「明日の福祉」について】

第一位(賞金15万円)西 岡  奈緒子
第二位(賞金7万円)栗 山   隆 治
第三位(賞金5万円)佐々木  良 子
第三位(賞金5万円)星 野  有加里
佳 作小 暮   愛 子


懸賞作品選評

選考委員長 田 中 雄一郎(朝日新聞論説副主幹)

 「みんなで支え合う『明日の福祉』について」。これが今回の課題だった。オーソドックスなテーマだが、一般論に流れがちな題でもある。
 第一位は、西岡奈緒子さんの「誰かの役に立てたら」。子どものころから筋ジストロフィーを抱える、三十代の会社員だ。電動車いすとヘルパーを頼りに暮らしつつ、「支えられる側であると同時に支える側でもありたい」と考えている。
 「笑顔が見られてよかった」とヘルパーさんに感じてもらえるように振る舞う。ブログを書いて、共感を得たり相談を受けたりする。筋疾患の女性の患者会を立ち上げる……。自らの行動を紹介しながら「支え、支えられは隣り合わせ」と説く。選者からは「肩ひじを張らない筆致で、大切なことを教えてくれる」「あたたかい気持ちになる文章」「介護する側、される側が互いに高め合うという前向きな内容に元気づけられる」と好評価が寄せられた。
 第二位は、栗山隆治さんの「介護教育のすすめ」。将来、介護を受ける人のためのスクールを提唱したことに、「斬新」「独自性がある」といった声が相次いだ。
 筆者がかつて勤めた会社の上司で、今は介護ヘルパーに助けられながら暮らす人物が主人公だ。誕生日やクリスマスに、歴代の介護士が手料理持参で集まる。そんな「介護の受け方の達人」の姿を描きながら、「楽しく介護を受けるノウハウを作れば、介護を行う人も楽しめて、介護職の人材不足も解消されるのでは」と指摘する。
 第三位は2作品。佐々木良子さんの「オレンジリング」は、母が軽い脳出血に見舞われた時、病院内にいたのに認知症と間違われて半日も放置された体験から書き起こす。自身も重度の障害者だが、支え合いのために自分ができることを実行していることを説明し、情報を共有する大切さを訴えた。オレンジリングは、認知症サポーター養成講座を受けた証しで、車いすに提げているという。
 「福祉は人のためならず」を書いた星野有加里さんは、通信制高校の教師だ。難聴であることを家族以外で初めて打ち明けてくれた女子生徒、ピアノに挑戦した視覚障害の男子生徒の姿を通じて、「好奇心と可能性の芽を摘み取る世の中ではダメ」「完璧主義は捨て、中途半端を良しとして『途中までやった』と考えよう」と主張した。
 小暮愛子さんの「まずは自分から」が佳作になった。24歳で身体障害者手帳の交付を受けた「視覚障害者と健常者のハーフ」としての立場から、善意の手助けに感謝しつつもかえって困ってしまう場合がある問題を取り上げた。相手の気持ちや真意を考えながら、こうしてほしいと遠慮なく伝えることが、お互いをわかり合い、支え合うことにつながると結んだ。
 選ばれた5点に共通するのは、具体的な体験やエピソードをうまく織り交ぜたことだ。それをどう普遍的な主張につなげていくか。あらゆる論文・作文に問われるポイントだろう。



第55回リハビリテーション懸賞作品 第1位入選作品